海外移住者、高齢化と直面 医療費かさみ困窮も

中日新聞にチェンマイに移住した高齢者について記事が載っていたのでシェアします。厳しい現実を伝えています。

東南アジアなどに長期滞在して余暇を過ごす「海外ロングステイ」の人気が続く。定年後に充実した生活を送る人が多い半面、ついのすみかを前提に移住した人たちの高齢化が進み、病気や介護、孤独死の問題が深刻化。企業や現地の滞在者らで、解決に向けた取り組みも始まっている。 タイ北部チェンマイで二〇一六年六月下旬、七十代の日本人男性の葬儀が行われた。定年後に移住、一人で暮らす部屋で倒れ、一週間後に発見された。家族との関係が二十年以上、途絶えていたため遺族捜しが難航し、火葬まで二カ月を要した。 隣室に住んでいた七十代の日本人女性は「礼儀正しく優しい人だった。ただ、深い付き合いを避けていた印象がある。一歩、踏み込んで交流できていれば」と振り返った。 在チェンマイ日本総領事館によると、タイ北部の日本の長期滞在者は約三千百人で、六十歳以上が半数近くを占める。現地での死者数は増え、一六年は三十八人に上った。遺族が葬儀などに来なかったケースが半数を超える。 背景として将来の見通しが不十分なまま、安易に移住に踏み切る問題がある。金銭の余裕がなく、一人で生活する高齢者の場合、病気などで医療費がかさみ困窮する。家族との関係もこじれており、支援が望めない。認知症になり、現地での自活はもちろん、帰国も困難な例が少なくない。 タイを選ぶ理由の一つに日本と比べた生活費の安さがある。ロングステイ財団(東京)の佐藤博之業務部長は「バブル崩壊以降、リストラなどで職を失った人が年金の満額支給までの期間に滞在する例もある」と指摘。「家を売り、日本を捨てて行きたい」という相談も受けるという。佐藤部長は「介護が必要になった時などに帰る場所がなくなるリスクを考えてほしい」と話す。 問題が相次ぐ中で、現地の移住者らが結びつきを強め、支援活動を進める動きが出ている。 七十歳以上の会員が中心の「チェンマイ定住者集いの会」は、一六年十月の会で「終活」を議題に取り上げた。人生の最期を考え準備を促すのが目的で、約四十人が集まった。 火葬の許可は親族による手続きが必要で、たとえ家族と絶縁していても法律上の相続人に連絡されることなどを確認した。事前に葬儀代を積み立てる葬祭互助会の取り組みも広がりつつある。 九月には領事館や長期滞在者、タイ人らが連携し、独り暮らしの高齢者を見回り、介護や救護が必要な人を支援する活動がスタート。ただ、ボランティアに頼る運営のため、資金や人材確保に課題が残る。活動する山岸宏さん(80)は「終末期まで過ごせる地域社会をつくりたい」とした。

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